大人の遠足 @滋賀県 : 新之助上布編

姉妹弟子のハルミさんを二年越しで、やっと我が町《彦根》にご招待することができました。

今回は「大人の遠足」 と題して、滋賀の文化や伝統などにも触れてもらえるような旅になればとリサーチをして、お迎えする準備をしました。

滋賀県には、近江牛だけではありません。

他府県に負けず劣らずの素晴らしい伝統産業の数々があります。

着物や着付けに携わる私たちが、何よりもまず興味があるのは、織物や染物などで、滋賀にも織物の産地が点在しています。



特に「近江上布」「近江ちぢみ」と呼ばれる上質な麻織物は滋賀が誇る伝統工芸品です。

湖東と呼ばれる琵琶湖の東側の地域で織られるものの総称なのですが、その中にあって、彦根の大西新之助商店さんで伝統工芸士の大西實さんが織られる「新之助上布」は滋賀が誇るブランドとして全国で知られるところのものです。

同じ彦根にいながらも、百貨店等で商品を拝見するばかりだったのですが、

今回ハルミさんが彦根にくるなら、という絶好のこのタイミングで、偶然にもお友達に顔つなぎをしてもらえてしまって、工場の見学をさせていただけることになりました。


今回はご夫婦お二人で迎え入れていただきました。

工場の中を惜しげもなくなんでも見せてくださって、細かに説明やお話をしてくださいました。

どこもかしこもなんでも写真もどうぞ、自社製品はなんでも撮ってくれていいし、何に使ってくれてもいいしと、本当にびっくりするほど隅々まで自由に見せてくださいました。



〜 大阪や東京やいろんなところから人がきてくれるようになった。若い人たちが、着物や新之助上布に興味を持ってくれるのが嬉しい。

みんな一生懸命頑張っいてとっても偉いから、なんでも見てなんでも勉強して帰ってくれたらいい。 〜

「好きなだけなんでも、気にせず見るだけで帰ってくれたらいいですからね、いつでもきてもらっていいですからね」と何度も優しくいってくれる

お母さん。




お仕事の手を止めて、織機の仕組みや動かし方も説明を交えて直ぐ近くで見せてもらい機械を触らせてももらいました。

手織りの工程は型を彫ったり、横糸を染めることまで、すべてされているので、織りはじめるまでの準備にもたくさんの時間を費やすことや、
織機を動かすのもかなりの神経を使うので、長時間はできないからと、休憩の時間の方が長いんだよとCDラジカセと三波春夫の浪曲全集を指差し笑いをさそってくれる

お父さん。



ただ、もうこの織機の数がなくて、それを動かしている人が少ないだけの話で、特別なことをしているわけでないとご謙遜されていましたが、
やはり後継者の問題などもあり、技術を伝承していくために、それを未来に繋ぐことにも尽力されているのだと、後からお母さんにうかがいました。



伝統の技術の素晴らしさに感動や感嘆を味わうその裏に、それを支える方たちのご苦労がいかばかりかということを同じくして知ることが、文化を知るということなのかもな、なんてわかったようなことを思うのです。

そして、お人柄に触れられたことで、ますます地元からもっともっと皆んなでその良さを知って愛するべきだと感じました。

そんは貴重なお時間をさいて、学びの時間をくださった大西さんご夫妻になにより感謝です。

大人の遠足  大西新之助商店さんをスタートしてまだまだこれから滋賀を堪能しました。


つづく

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